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KKJの出版物
研究・専門 ▲研究・専門[植物と環境形成を考える]
人の生活環境/濱野 周泰(東京農業大学助教授)
くらしかた・すまいかた ▲みんなにやさしいくらしづくり
東京都/石川 しずか(東京農業大学助教授)
会員情報 ▲未来的かつ宇宙的な発想から生まれた個性派ドームハウス『エレクター・フラードーム』
/エレクター株式会社
見学会報告レポート 平成12年度 第3回見学会
▲サンヴァリエ桜堤団地
快適のためのミニコラム ▲よむもの・よむもの
平成12年 第3回 見学会報告レポート

サンヴァリエ桜堤団地

 

 東京都武蔵野市の西部にあるサンヴァリエ桜堤団地は、JR中央線武蔵境駅と東小金井駅から約1kmの距離にあり、交通アクセスに比較的恵まれている。周辺は閑静な住宅市街地が広がり、玉川上水緑道、都立小金井公園をはじめ畑や屋敷林など、武蔵野の風情を残す緑豊かな環境に恵まれている。大学や高校等の文教施設が多い地域でもある。団地内には仙川が流れ、武蔵野100選に選定された桜並木など緑も多く、自然豊かな居住環境が形成されている。団地全体が武蔵野市が定める7つの「森のゾーン」のひとつに組み込まれ、地域の緑の拠点として位置付けられている。桜堤の地名は玉川上水土手の桜にちなんで名付けられたという。

説明会
 今回は西部コミュニティセンターに集合して都市公団担当職員の方からお話を伺いながら現地を見学。その後、武蔵野市職員の方も交えて、地域が抱えるゴミ処理の問題、仙川の自然復元、緑の継承をテーマとした屋外計画など、具体的かつ詳細なお話を伺う事ができた。参加者からも取り組みに関する多くの質問があり、生ゴミ処理器の熱源として太陽光は利用できないか、といった意見も聞かれた。個々の取り組み内容はもちろんのこと、地域の抱える環境問題や地域環境の向上に資する住宅団地建設のあり方を考えるうえでとても参考になる見学会であった。

団地の建て替えにあたって
 この団地は昭和34年完成した桜堤団地の建替事業として、都市公団によって平成11年11月より順次竣工された。計画推進に当たって武蔵野市の上位計画との整合を図ることが重視され、広く街づくりに貢献する建替事業が展開されている。緑の移植・保存・再生利用、仙川の再生事業、生ゴミの新しい処理システムなど、環境共生に資する独自の取り組みが行われている。建替事業では敷地の環境資源を踏まえて、以下の4つの基本方針を定めている。
・緑の継承
 (桜やケヤキの保存、魅力的な公園と緑の軸の形成)
・地域との融和
 (仙川をはじめ周辺の公園緑地等と連係する歩行幹線ネットワークの形成)
・環境への配慮
 (雨水活用の推進、自然エネルギーの活用、生ゴミ処理システムの採用)
・いきいきとした生活空間づくり
 (屋外と建物が融和する空間設計、生活感の表出による暮らしの景観づくり)

生ごみ処理システム
桜堤団地では都市公団と武蔵野市の間で締結された基本協定に基づいて生ごみ資源化事業が行われている。生ごみをコンポストに再生して有効に利用し、ごみの減量化、資源化を図ると同時に、団地居住者と市内農家の協力関係をつくって広く循環型社会を形成していくことも目標にした取り組みである。団地内(第1期)には現在、50世帯に1台の割り合いで合計13台の生ごみ処理器が設置されている。都市公団が生ごみ処理器と付帯設備を設置し、武蔵野市がその運営と維持管理を行っている。生ごみ処理器は熱効率が良いガス温水式バイオ型で一度に32kgの処理能力を持つ。約600世帯で年間約100t~130tの可燃ごみを減量し、年間約15tのコンポストをつくる予定という。生ごみ処理器から回収されたコンポストは専門業者が農家で使える堆肥に加工して武蔵野市内の農家に提供され、市内産野菜に姿を変えて市民に供給される。一部は団地自治会にも提供され団地内の花壇などで利用される。堆肥化に際してはPCBやダイオキシンなどの成分調査も行われている。なお、生ごみ処理器は団地住民が24時間いつでも生ごみを入れられるようになっている。



生ゴミ処理器の説明を熱心に聞く参加者

緑の保存と継承
既存樹木に恵まれた環境での建替事業のため、屋外空間整備では緑の継承を大きなテーマとし、樹木調査に基づいて既存樹木の保存と活用が行われた。保存、移植、再生材としての利用を行う事で、従前を上回る45%の緑被率が達成されている。サクラ、ケヤキ、モミジ、シイなどの既存樹木を活かした緑化によって緑の大きな骨格が形成され、自然豊かな特徴ある団地景観が創出されている。伐採樹木を新たな資源としてリサイクルしたベンチ、樹名版、ウッドチッップ材など、環境共生の取り組みは細部にわたり徹底している。生物環境にも十分な配慮がなされ、周辺環境と団地が一体となる水と緑のネットワーク化の考えに基づき、生物の棲みかや移動の際の中継拠点、または通り道となる環境が整備されている。このような団地のエコアップは、仙川の自然再生と緑地の連続化、土面の確保と透水性舗装による雨水の地下浸透の促進、発生材の再利用、自然エネルギーの利用など総合的な取り組みによって実現されている。今回の見学会は冬季であったので体験することができなかったが、サクラの花が咲き、若葉燃える春季に再び訪れてみたい桜堤団地である。
(1)
(2)

トンボたちの住処となっているつつみ公園の池から仙川に水が流れ落ちる部分には水質が浄化する施設が設けられている。

(1) 水質浄化施設
(2)団地内の桜並木
(3)つつみ公園の池

(3)

仙川再生事業
 桜堤団地内を流れる仙川はかつては雑木林の中を流れるせせらぎであった。小金井市内に源を発するこの1級河川は現在、三面コンクリート張りの姿に変貌して流量も少なく、生物が生息生育しにくい河川環境になっている。そこで武蔵野市は仙川を自然豊かな水辺空間に再生するため、平成9年3月に「仙川でまちなみをリメイクする事業」を重点事業として位置付け、平成10年3月には河川管理者の東京都、武蔵野市、都市公団の3者によって「水辺環境整備の方針及び方策」が策定された。これに基づいて、桜堤団地の建替事業に関して都市公団と武蔵野市との間で基本協定が締結され、平成10年9月に当団地内を流れる仙川の水辺環境整備を行うことが合意された。団地内は「自然生態系復活ゾーン」として位置付けられ、平成11年10月に団地建替事業と並行して、第1期整備区間が竣工している。当整備事業では学識経験者の指導のもと、できるだけ自然に近い形の河川環境が再生されている。深さに変化を与えた川床、石や木杭を配置、野鳥が休息したり繁殖するための乱杭や植栽の配置、開放水面の確保、水質浄化施設の配置など、多様な生き物が生息できる水辺環境を確保するための工夫を見学することができた。また仙川の水源として団地内に降った雨水が利用されている。雨水は地下貯留槽に一度貯えられ、太陽エネルギーを動力源としたポンプで汲み上げられて流れの水源となっている。水辺にはテラスデッキが設けられ、住民の憩いの場、自然観察の場として利用されている。

記憶の樹園にはケヤキの大木が残された

仙川水辺公園では武蔵野の自然が再生されている

団地内の植栽の手入れはシルバー人材によって支えられている

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