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kkj 特集~暖かくすごす冬の工夫

冬は太陽を利用する

冬の場合の寒さは「風」に、暖かさは「太陽」によってもたらされるようです。
自然の力をうまく暮らしに取り込みながら、暖かく過ごす工夫を探してみましょう。

風を防ぐ工夫

太陽や風などの自然エネルギーを活用して、少しでも暖かく過ごそうとしていた昔の人の知恵は
省エネルギー・省資源な暮らしを考える現代においても参考になります。

風は風速1m/秒ごとに体感温度を1度さげると言われています。
冬の寒い日に、人が強い風をうけてより寒く感じるのは、風が吹くことによってより多くの熱が自分から奪われているためです。

家も同じように、外壁に強い風を受けると、躯体の熱が奪われていきます。風にさらされて冷たくなった躯体から、室内の暖かさが奪われていくため、冬を暖かく効率的に過ごすには、躯体に風を当てない工夫や外と中の熱の交換を起さないための工夫が必要になります。

暖をとるためのエネルギーを薪や炭に頼るしかなかった時代では、季節風を上手に調節し、暖房に係る負荷を小さく抑えながら生活していました。屋敷林と呼ばれる防風林などはその代表的なものです。

太陽光を『暖』に活かす工夫

太陽の光は物に当ると熱に変わります。例えば、窓から部屋の中に太陽光が射し込むと、日のあたった床や壁は熱を持ち、そこから室内に向けて輻射が起ります。日の多くあたる部屋が暖かいのはこの「輻射」によるものです。

夏の場合は窓から入ってくる日射を遮り、夜間も含めた室内外の温度差を利用する「涼しい暮らし方」を紹介しました。
冬の場合は夏とは逆に、太陽光を可能な限り利用しましょう。

取り入れる熱の量を増やす「集熱」、取り込んだ熱の損失を押さえる「断熱」、取得した熱を有効活用して室内の温度を下げないようにする「蓄熱」の3つの手法を、地域の気候特性や立地条件などに応じて上手く組み合わせて、建物の熱収支バランスをはかり室温の変動を小さく抑えることが大切です。

平面的な工夫

日照が確保できる位置や時間帯がわかったら、住む人(例えば自分)がどのような時間帯に日差しを必要とするのか、ライフスタイルなども含めて長期的な視点で考えて平面配置を工夫します。

立面的な工夫

季節ごとの太陽の高さ(例:東京の太陽高度。真南で冬至30.6°、夏至77.5°、春秋分54°)と日影の状況などから、隣接する建物の影がどのくらい伸びてくるかなどが把握できるので、それらを踏まえた上で、窓の大きさや位置等を決めると効果的な日射の利用が可能になります。

地域差を考慮することを忘れずに

日射特性と寒さの質 適正の目安
日射量が少なく非常に寒い地域 ×
日射量が少なく寒い地域 ×
日射量が多く寒い地域
日射量が多い地域
日射量が多く暖かい地域
参考資料:「自立循環型住宅への設計ガイド」(3.日射熱の利用)
(監修:国土交通省 国土技術政策総合研究所、(独)建築研究所/発行:(財)建築環境・省エネルギー機構)

日本列島は南北に長く、そのため冬の寒さにもいろいろな特色があります。
例えば、日の出ている時間(日照時間)が長い地域や、短い地域との違い、窓面のある方位の違い、周辺の建物による環境の違いなど、その環境条件は様々です。地域の気候特性によって日射を暖房にしやすい地域や、暖房への太陽熱利用が期待できない地域があります。
また、冬期はよくても夏期が暑くて大変では、バランスが良い設計とは言えません。夏期の冷房エネルギーと冬期の暖房エネルギーの削減効果は合わせて考えるようにしましょう。

次に、部屋に取り込んだ熱を逃がさないためにはどうしたら良いのでしょう。
熱を逃さない工夫を、人と家の場合に分けて考えてみましょう。

熱を逃さないために

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