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見学会報告レポート
平成12年度第1回 報告レポート
山梨県環境科学研究所見学
00年06月30日 


 山梨県が提唱する「環境首都/山梨」の実現を支援するために、富士北麓に「自然と人の共生」をテーマとして「研究」「教育」「情報」「交流」の4つの機能を持つ研究所として設立されたのが山梨県環境科学研究所である。
 敷地は国立公園にあり、冬季-10℃以下となる厳しい環境条件のなかで「環境共生建築を実現すること」が求められた。また、一般 に研究所は研究を最優先させるためエネルギー消費量が多くなりがちであり、寒冷地で大量 の実験用外気が必要とされる点などを重点項目とし、計画された環境共生型研究所である。

敷地の地形を活かし、生態系を乱さない
 等高線に沿った配置計画や進入路・駐車場計画を行い、盛土、切土を極力少なくし、発生土は敷地内処理とし、場外搬出ゼロを達成した。屋外広場や散策路には木デッキを使用し、地盤面 の保全を図っている。
 木デッキは建設時に伐採した木を使用し、生態観察園の野鳥や植生の観察路となっている。寿命は5年程度であるので、監理補修がそのつど必要になるが、地盤面 の保全を優先して考えた場合に、欠かせない配慮事項であった。

環境情報センター
 本館1Fにあるこの部屋は図書の閲覧、ビデオ鑑賞、山梨の環境に関する情報検索のできるパソコンコーナーとブラウジングが設置されている。


環境学習室
参加体験型の学習機器により誰でも参加でき、楽しみながら環境について学べる。


太陽光の積極的な利用

04/集成材によるトラス部分
 太陽光の差し込むエントランスホールは見学者や研究者のコミュニケーションの場であるためハイサイドライトから自然光を取り入れられる設計になっている。これは研究棟のワークスペースにも採用されている。この配慮は開放感の高い、快適な空間を生み出すと共に、照明点灯時間を短くするので、照明用電力の削減を成功した。合わせて、熱がこもらないよう上部から風が吹き抜ける形状になっている。細かなパッシブデザインがこの空間を維持する電力を極力抑えている。
 アクティブな利用に関しても、エントランスロビー部分の屋根に太陽電池パネルを設置し、太陽熱集熱と太陽光発電が併用されている。
 太陽熱は本館棟、研究棟ともに屋根部分に仕上げと躯体の間に空気層を設け、太陽光により暖められた空気を軒先先より取り入れられた空気の暖房に利用している。
 太陽電池は太陽エネルギーの約14%を電気にかえ、残りは熱として逃がしてしまう。より効率的な利用を目指し、光と熱のハイブリット利用を採用。これによりCO2の排出量 を通常水準よりも約40%削減、暖房期間全体のデーターでは合計エネルギー効率が約45%を記録した。

08/エントランスホールを
渡り廊下より見下ろす


アカマツ林の中に溶け込む
 周辺環境を考慮した設計は環境共生建築を考える上で重要な項目である。
 山梨県科学研究所では等高線に沿った配置計画や進入路・駐車場計画をすることで、切り土・盛り土を極力少なく抑えた。また、建物の形状を決定する上でも、周囲を取り囲むアカマツ林の平均樹高(15~18m)の高さを考慮し、樹高よりも軒高を低く押さえ、外壁の素材をレンガで統一することで、周囲の景観に溶け込んでいる。

07/アカマツの種が鳥よって運ばれ、
屋上庭園で芽吹ている

06/屋上庭園より周囲を見渡す

ライトシェルフによる自然光
 

研究棟階段下に設けられたスペース

研究所ではライトシェルフを採用し、照明エネルギー削減を実施している。光環境改善の対応策として行われている、自然採光は全体照度の約40%を補っている。その内訳は上窓が20~30%、ライトシェルフが10~20%となっている。


上窓から光が差し込んでくる研究棟の廊下


クール/ヒートトンネルによる地中熱利用
 研究所周辺の地盤の温度は1年を通じて安定しており、冬季は外気の予熱に、夏季は外気の予熱に利用できる。このため研究棟の地下躯体を利用し巾3.6m×高さ2.6m×総延長72mの大規模なクール/ヒートトンネルを設け、積極的な地中熱利用を図っている。
 また、太陽熱による外気予熱および地中熱による外気予熱に加えて、全熱交換器による徹底した排気回収を行っている。この効率を上げるために制御はすべて機械により行われている。
 また、年間を通じ一定温度である地下水を熱を利用し、冷水、温水、湯を作っている。井水熱源ヒートポンプは敷地内において二酸化炭素を発生しないので、研究所内で利用される空調用熱源として採用された。井水の貯留層をクール/ヒートトンネルの脇に配することで室温を低く抑えている。この2つの空間に挟まれた機械室の温度が下げられるという利点も考慮されている。

実験室から収集された 空気は
ここに集められる


クール・ヒートトンネル内部


地下水のカスケード利用
 熱源水として用いられた井水の一部は、便所洗浄すいや修景用の池補給水として再利用している。



建築概要
名称:山梨県環境科学研究所
建築主:山梨県
所在地:山梨県富士吉田市上吉田剣丸地内
設計監理:山梨県総務部営業課 (株)日建設計
竣工:97年4月
用途:研究所
規模:(本館)地上3階、地下1階
   (研究棟)地上2階、地下1階
   管理棟、生態観察園、附属棟、温室、圃場
敷地面積:30ha
建築面積:3,949.829m2
延床面積:6,396,292m2 (本 館)2,501m2
(研究棟)3,429m2
最高部高さ:(本館)18m  (研究棟)16m

参考資料:日建設計「山梨県科学研究所の環境共生型空調設備」

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