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見学会報告レポート
平成12年度第2回 報告レポート
屋久島環境共生住宅
00年07月28日 


 屋久島環境共生住宅は県営住宅(24戸)町営住宅(26戸)が同敷地内に混在する ため、鹿児島県住宅マスタープランと上屋久町住宅マスタープランの2つの指針か ら計画された。この2つに共通する点は「地域のコミュニティの活性化」を図りつ つ、「人口定住に質するまちづくり」を行うということであった。
 屋久島は1993 年、ユネスコによる世界遺産条約の自然遺産に登録され、九州最高峰の宮之浦岳を はじめ1500mを超す山々がそびえ立ち、「洋上アルプス」の異名をもつ。島の75 %は山岳地帯である。この住宅は屋久島の厳しい自然環境の中で生み出された地域 の伝統を受け継ぎながら、新しいコミュニティと古くからのコミュニティを交流させる場としてそこにある。

屋久島環境文化村セン ター

 午後の見学会の前に屋久島の環境を学ぶため、「屋久島環境文化村セン ター」を見学。大型映像ホールでの上映会も鑑賞した。島に来る前の漠然 としたイメージよりも具体的な環境条件を知るのにとても役立った。
概要説明

 今回の見学会は設計者である岩村和夫氏、武田敏郎氏のお話を伺いながら現 地を見学。その他、屋久島で取り組まれているゼロ・エミッションなどの環 境共生に対する取り組みを紹介。
風土と建設

 屋久島の気候は年間を通して温暖多湿で、台風の常襲地帯でもある。年間雨 量も総じて多く、梅雨や台風時期には豪雨による被害も少なくない。この気 候風土で人々が快適に生活するために生み出し、受け継いできたものは、生 活の近代化、画一化が浸透した現在では、量産された内地型住宅へと移行し つつある。

 今回の計画では、古くから屋久島で建 てられてきた住宅の様式を近代住宅の中に取り入れ、新しい技術要素と組み 合わせる事で屋久島型環境共生住宅のモデルを提供することを目指した。重 要なのは台風・豪雨.塩害・白蟻に耐え、長期利用が可能であること。これ らをクリアしつつ、シンプルな軸組とバリエーションで多様な型別供給を 行っている。
環境共生を象徴する ペア風車のゲート
この風車は中央モールから集会室後ろの滝へとつながる水路の水を循環させている。


冷気を取り入れ、熱を逃がす



 室内の自然換気を行うために、まず床下地盤 に砂を厚さ30~50mm敷き均し、その上に通気性のある袋詰めにされた建築廃材をリ サイクルした木炭を二段重ねで全面緊密に敷設する。これにより床下の相対湿度が下が り、接する木材の含水率も低下し、腐食が起こりにくくなる。この木炭は一度敷設すると 恒久的な使用が可能であり、経済的な上カビや害虫の発生も抑制し床下独特の臭いも少な くなる。
上/スペーサーは 15×100×200(mm)
下/リビング床部分の無双式換気口。
手動で開閉を行い、床下冷気を取り 入れる。

 合わせて全周通気タイプの床下換気を行うため、ステンレス製一体プ レス構造のスペーサーを布基礎全周にわたり約500mmピッチ(コーナー部は 二方向隣接)にはさみ、土台を緊結する。この工法は布基礎の断面欠損もなく 床下全周方向にわたって床下換気口を大幅に上回る通気性が確保できると同時 に、土台が湿気をよぶ布基礎にも直接触れないので腐食の心配もない。改善さ れた床下の空気は床下冷気として室内に取り入れる。取り込まれた冷気を自然 循環させるために室内の対角上に天井換気口を配し、小屋裏、棟換気 と拝熱させる。気温差により気流の生じ方には差があるが高温多湿 時や夏期の夜間には心地いい風が流れる。

屋裏部分へは可動式のはしごで上る。
建材は地場産材を多用している。
 
建材は地 石垣と生垣による囲みは厳しい外部環境から住宅を守 り、路地空間に多彩な表情を与えてくれる。
(左)屋久島環境共生住宅
(右)島内に残る集落
コモン空間へつながる住宅間の細い路地。

(左)屋久島環境共生住宅
(右)島に残る集落

風景に溶け込む

 敷地の後方には前岳がそびえたち、道路をはさんだむこう側に海が広がる。屋 久島の何処からも望める風景である。屋久島環境共生住宅では南高北低の原形 状を活かした住棟配置をしており、山並になじんだスカイラインが形成され、 平屋切妻屋根が風景の中に溶け込んでいる。また岳おろしや海風を遮るために 囲み型緑地とし、中央緑地、緩衝緑地帯を配することで厳しい外部環境から住 戸を守っている。居住ゾーンを網羅する路地空間は緩衝緑地とつながり、敷地 内には緑の歩行動線が形成されている。背割り部分のコモン空間は東屋が設け られ住民同士の憩いの場として提供されている。この路地空間に植えられた 様々な樹種の植栽は、一年を通して住民の目を楽しませてくれるだろう。

中央広場に植えられたアコウ

海に面している集会室の展望デッキはそのまま住宅 地の街路に続いている。南北軸につながる中央モールの向こうに前岳がそびえる。

 今回の見学会で工事終了していた住戸は第一期分のみであり、集会所、その他 外構部分はまだ工事中だった。工期は今後第二期、第三期を残しているため、敷 地内の1/3の入居が2000年12月から始まったばかりである。地域のコミュ ニティの活性化と人口定住に質するまちづくりはこれから本当の意味で形づく られていくのだろう。何年後かには全ての入居も終わり、植えたばかりの植栽 たちも深く敷地に根付いていることだろう。そんな頃にもう一度訪れてみたい、 楽しみな住宅である。

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