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見学会報告レポート
平成14年度第4回 報告レポート
長池ネイチャーセンター(2002年4月12日開催)
02年4月12日(金)14:00~16:00
 午前中まで降っていた雨もあがり、春のさわやかな風に吹かれながら、せせらぎに沿ったゆるやかな坂道をゆらゆらと30分ほど登っていくと、ようやく見附橋が見えてきた。
 今回、環境共生住宅推進協議会の見学会として訪れたのは、この見附橋周辺一帯に広がる、自然保全型の公園「長池公園」の管理施設、長池ネイチャーセンターである。
 長池ネイチャーセンターは、自然や里山の体験学習のために、八王子市が建設した施設である。が、その管理運営は、地域の非営利組織「NPOフュージョン長池」という、NPO法人が行っている。公共施設の管理運営をNPO法人が委託された、全国でも初めてのケースである。
NPOフュージョン長池の活動
 見学会では、まず最初にNPOフュージョン長池の理事長で、長池ネイチャーセンターの館長でもある富永一夫氏から、ユニークな活動の概要について、お話しをうかがった。
 NPOフュージョン長池の活動は、図に示すように多方面にわたっている。現在は、その全ての分野の事業が動いているというわけではないが、富永氏によれば、住民の暮らしという視点に立ったとき、どれひとつ欠くことができないために、このように総花的になった、ということである。そして、各種の事業(花びら)は、自由に自立した活動を展開しているのである。
このNPO活動は、長年この地で続けられてきたボランティア活動を基盤としている。自立した住民が、自由に何か好きなことを行おうとするとき、NPOフュージョン長池が主体的に活動するのではなく、あくまでも、その活動や事業を「応援する」ことが、このNPO法人の活動の特徴となっている。富永氏は、この「自由」と「自立」ということを大切にしながら、これまでずっとボランティアでコミュニティ活動をつづけてきた方でもある。その思いが、このフュージョン長池というNPO法人にも受け継がれているのである。
また、活動の対象は、約1万所帯(概ね徒歩20~30分圏)を範囲としている。これは"顔の見える"人とのやさしい関係を大切にし、保っていくためであるという。
こうした「自立」「自由に」「顔が見える」という考え方は、地域住民の参加が前提となるコミュニティ活動を、永く続けていくための重要な要素であろう。
お話しの締めくくりに、富永氏は「地域は舞台、住民は主人公、企業と行政は応援団」という活動のコンセプトを示し、応援団のひとつとして、今後も積極的に、楽しみながら、事業を展開していくことを語ってくれた。

■スケジュール

○ご説明
「長池ネイチャーセンターのコンセプト・活動内容」 
                   NPOフュージョン長池 富永一夫氏
「長池ネイチャーセンターの環境共生」
                  野沢正光建築工房   野沢正光氏
     
○長池ネイチャーセンター及び長池公園 見学

○ご説明
        「長池公園周辺における都市基盤整備公団の取り組み」
            都市基盤整備公団東京支社多摩ニュータウン事業本部
                                 村上良介氏
○質疑応答
 参加人数 : 30人

 















長池ネイチャーセンターの気候と架構
 続いて、長池ネイチャーセンターの設計に携わられた野沢正光建築工房の野沢正光氏から、この施設について、「気候と架構」というテーマでお話しをうかがった。
 野沢氏は施設の設計にあたり、シェルター(殻=建物)をどのように作り、その中のインナークライメイト(内部気候=室内環境)をどう作るかということを念頭に置き「気候」と「架構」というテーマを設定したそうである。そして、インナークライメイトをまずイメージ(デザイン)し、それを実現しつつ、いかに資源の量を低く抑えて建物を建てることができるかについて検討を重ねたそうである。
 「気候」は、環境共生手法の導入による自然エネルギーの利用という意味である。この施設に導入されている環境共生手法は、
 ○太陽光発電
 ○太陽熱利用の暖房換気システム
 ○クールチューブ
 ○外付けルーバーブラインド+トリプルガラスの木製サッシ
 ○風力ポンプ
 ○屋根や壁面の緑化
 ○雨水による植栽への潅水
 ○日射や通風に配慮した平面計画
などであり、パッシブな環境手法とアクティブな設備技術が混成したものとなっている。野沢氏によると「事業主の意向もあり、どちらかというと環境共生手法の"てんこ盛り"になった」ということである。
エントランスホールに入ると目に留まる、大きなガラス面をもつ木製サッシからは、自然光がふんだんに入り、開放感を感じさせてくれるとともに、木や塗り壁を主とした内装とあいまって、やわらかくあたたかみのある内部空間を醸しだしている。
 太陽熱集熱は、東西壁垂直面での集熱が試みられている。展示室、工房、レクチャー各棟は、南に対して斜めにふられた形で配置されている。このため、南東面、南西面をそれぞれ集熱面とし、各棟ごとに2系統の集熱とすることで、太陽高度の低い冬期でも太陽の動きにあわせて東から西へと運転を切り替え、長時間の高温集熱が可能となるように工夫が凝らされたのである。

 一方の「架構」は、この施設を静かに特徴づける、もうひとつの要素である。
 建物に入るとすぐに、木の柱や梁がふんだんに使われていることに気がつくが、よくよく見ると、これがちょっと複雑な形をしていたり、巧みに組み合わされていたり、不思議な架構になっていたりで、どうやら、どうも普通に見慣れた構造ではなさそうだ、ということがだんだんとわかってくる。
 この構造について、ここでは詳しく説明することは避けるが、ひとつは、エントランスホールの緑化屋根部分の柱-梁の架構で、これは「卍固め接合によるランダム高低小屋組み架構」と呼ばれている。もうひとつは、展示室や工房の小屋組み部分で、こちらの方は「風車格子による角錘台小屋組み架構」と呼ばれている。名前までが「卍固め」やら「風車格子」など、ちょっと風変わりな名前がつけられているのである。
 これらの構造は、見た目が面白いだけでなく、いずれもこの施設のために独自に考案された構造であり、木材のもつ粘りを主題に、日本の伝統的な木造技術である「仕口」を多用することにより、金物をなるべく使わず"木の自然な使われ方"を狙った結果であるという。

ニュータウンがふるさととなるために
 長池ネイチャーセンターがオープンして半年の間に、約30000人の方が訪れたそうである。ひと月当たり5000人ということになる。八王子市では、当初1か月あたりの来館者数を、500~600人と見込んでいたそうで、実際には、その10倍ぐらいの方が訪れたわけである。
おそらくそれは、この施設が里山をテーマとする長池公園の拠点施設という位置づけであっても、かしこまった"よそ行き"の施設ではなく、建物(ハードウエア)としても楽しく親しみやすく、それを管理運営する組織や方法(ソフトウエア)も、工夫とアイデアに満ち、利用者の使い勝手の良さを追求し、ちょっと自分も何かやってみようかな、参加してみようかな、という気にさせるような雰囲気が、この施設のそこかしこに感じられるからではないだろうか。なぜそのようなことが実現できたか、といえば、それはきっと、富永氏ご自身がかつて活動を開始する際の出発点とした"ここをふるさととして感じられるような街にしたい"という思いにつながっているからだろう。ニュータウンに住むようになった方たちは、きっと心のどこかで同じ思いを抱いているに違いない。だから、みんなここに集まってくるのではないだろうか。
 地域に帰ってきたお父さんたちが中心となって、気軽に楽しく、自由にまちづくりを実践している。長池ネイチャーセンターは、そんな街の拠点施設なのである。

*NPOフュージョン長池の活動や長池ネイチャーセンターについて詳しく知りたい方はwww.Pompoco.or.jpをごらんください


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