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見学会報告レポート
平成14年度第4回 報告レポート
新都心那覇市営住宅
02年12月13日(金)

今回は「南方型環境共生住宅の見学」というテーマで沖縄での見学会を実施した。見学会全体のスケジュールとしては、2泊3日で那覇市周辺から名護市あたりまでの“沖縄らしい”住宅や施設などを新旧とりまぜて見学した。このレポートは、そのうち竣工後、比較的日の浅い新都心銘苅市営住宅についての報告である。 (参加者11名)

銘苅市営住宅の特徴
 銘苅市営住宅は、新都心として開発が進められている地区に建設された環境共生型の集合住宅団地である。この団地の基本理念は
1.居住者の日常的なつきあいをはぐくみやすくする住空間計画
2.守りやすい住環境
3.長寿社会対応集合住宅
4.環境共生型集合住宅
5.多くのタイプの住戸の供給 多様な家族の共存
6.メンテナンスのしやすい住宅団地
7.美しい住空間の創出
の7つである。
 約31m×42mの中庭を4棟の住棟が取り囲み、その住棟の外側を、住棟のバッファーとなるよう緑化された駐車場、サービス路が巡っている。パーキングは135台分で100%となっている。これらの外側には、さらに四周の隣接地との境界にとられた植栽帯が取り囲んでいる。この植栽帯は、幅約1.2~2mほどであり、隣接地に対して、柔らかい緑のバッファーを提供している。特に、南側の県営住宅団地との境界部分においては、相互に2mの植栽部分を設定し、両方で幅4mの緑の帯を生み出している。樹種についても双方の協議で選定されている。
 また、周辺地区に対して、この団地から相互連絡用の「ウデ(連絡路)」を伸ばしており、地域の住民がこの中庭を通って周辺の団地や福祉施設へ行くことができるような配慮がなされている。
 4棟の住棟は、全棟とも中庭に面した回廊で結び付けられている。つまりどの住棟の回廊からも中庭を見ることができるようになっており、中庭広場で遊ぶ子供たちや、そこでくつろぐ人々は、いつも回廊からの視線によって守られていることになる。
 すべての住戸は、この回廊側に出入り口(玄関)をもち、その反対側にバルコニーを有しているので、ウラ・オモテのない住棟構成となっているといえる。
中庭を抜けて南側に出ると、駐車場の向こうに県営住宅が見える。
銘苅市営住宅の環境共生
 以下に、銘苅市営住宅における環境共生手法を紹介するが、この団地の設計者である末吉栄三氏によれば、「環境共生住宅」という言葉を知るずっと以前から、「風が通り抜け」「水を利用し」「緑を植える」ようなしつらえは、沖縄ではごく当たり前のように行ってきた、ということである。確かに今回の沖縄での見学会を通じて、どの建物からも、この「風」「水」「緑」とどのように向き合うか、その工夫や知恵を感じることができた。
中庭に利用される雨水
中庭に展示されている発電量のパネル
雨水の地下貯留
 1つの住棟の地下に150tの雨水貯留タンクが設置されている。貯蔵された雨水は、中庭広場の植栽への散水や、せせらぎの循環水として利用されている。
太陽光発電
 地下に貯留した雨水は、太陽光発電によるポンプで屋上に揚水され、屋上庭園の水として利用される。
高耐久な住棟
 
各住戸は、薄い柱と厚い壁からなる、いわゆるボックスカルバート構造である。壁厚、床スラブ厚ともに30°で内部には柱型も梁型も出てこない。したがって住戸内部は将来におけるプランの変更にもフレキシブルに対応可能と考えられる。
 こうした住戸が積み重なった住棟は、全体としてメガストラクチュアを構成しており、耐久性の高い建物となっている。
屋上緑化
 2つの住棟の屋上は屋上庭園として緑化されている。この屋上庭園は全棟を結ぶ回廊に面しているので、他の棟からも見下ろすことができ、日常的に人の目が届く安全な緑の空間として利用できる。
ピロティによる風の導入
 南側に面する住棟の1階には、それぞれ住戸2戸分の広さをもつピロティが設けられている。このピロティによって夏には涼風が通り抜け、強い日差しからも守られることになる。反対に、北側に面する住棟には、こうしたピロティは設けられておらず、冬の季節風は住棟で遮断され、中庭に吹き込まないように配慮されている。
回廊に面する玄関ポーチ
 住戸プランによってことなるが、玄関にゆとりあるポーチが設けられている住戸があり、入居者同士や来客などとの立ち話ができるようなスペースとなっている。入居者によって鉢植えを置いたりさまざまな工夫がなされている。
 銘苅市営住宅は、一見するとやや無骨で冷たい感じのする集合住宅であるが、実は沖縄をこよなく愛する設計者の温かな思いや工夫、知恵、配慮が詰め込まれた住宅であることがわかる。やがて年月が経て、その存在感を示しながらもこの住宅にも時が刻まれ、じわじわと周りの環境になじんでいくことを期待するものである。

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