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見学会報告レポート
平成14年度 特別見学会報告レポート
屋久島環境共生住宅
02年10月18日(金)
 1993年、屋久島はユネスコによる世界遺産条約の自然遺産に登録 され、鹿児島県及び屋久町・上屋久町はこの豊かな自然資源を後世 に伝えていくために、環境共生と資源循環の町づくりを進めている。 鹿児島県及び上屋久町はその名にふさわしい環境に配慮した住環境 のモデル事業として「環境共生公営住宅団地」は県営住宅(24戸) 町営住宅(26戸)の合計50戸を平成11年から6ヶ年計画で順 次建設している。現在33戸が完成し、居住者が暮らし始めている この住宅を、協議会の見学会としては約二年ぶりに訪れた。

見学会概要

 今回の見学会は設計者のひとりである岩村和夫氏、開発の当初か ら計画に関わり、特に自然生態に詳しい坂場光雄氏の両氏から、自 然との共生を踏まえた環境共生住宅建設についてお話を聞き、その 後居住者の方のご好意のもと住戸内部を含めた見学を行った。又、 今回は上屋久町の役場の方にもご協力いただき、鹿児島県及び町の 取り組みについてのお話を。また居住者を代表して自治会長から、 環境共生住宅に住んでみての感想や意見等、居住者の立場からの貴 重な意見を聞くこともできた。

写真:麦わら帽子のような屋久島の地形。
中央にそびえるのが宮之浦岳。


上下:玉石を使った石積みは屋久島の伝統的な住まいの形


上:中央広場に植えられたアコウ
屋久島の風土

 屋久島の地形はほぼ円型で、島の中央に九州地方最高峰の宮之浦 岳をはじめ、1800mを超える山々がそびえ立つ。住宅は海辺に近 いところで集落ができ往来するための道路があり、海からは暖かい 風が、山からは冷たい風が住居の中を通り抜けていく。リビングか ら北を見れば海が見え、南を見れば前岳が見える。このロケーショ ンは方位が変わるだけで島の何処に家を建てても変わらないという。台風は歓迎しないのによく来る。風向が東西方向なので、住宅の開 口部は南北に多く設けられている。これも屋久島で島民が学んでき た共生の作法であろう。(場所によっては防風林や石垣を設けて東西 でも開口部設ける。)

 夏場は亜熱帯の地域でありながら冷房を入れない家庭が多い。そ のために通風は色々なところで配慮されている。この住宅の形式は 棟割長屋形式のため壁一枚でお隣さんである。近所のお付き合いには距離が身近であるが通風の配慮から声も入ってくるためお隣さん は今日も元気でなによりといきたいが時には元気に聞こえてくるの は善し悪しである。町の方からはゼロ・エミッションの取り組みや アイランドテラピー構想、リサイクル、クリーンエネルギーの推進 など、この島ならではの参考になるお話がきくことが出来た。住宅 着工について新築はあるのだが建替えについては年間数戸しかない。



上右:緑豊かな背割りコモンは住民の大切なコミニュティスペース


上:集会場の屋上から前岳を望む 
下:道路の中央に設けられた排水溝
山岳と海の間に溶け込む佇まいの一体感

 海風は弧を描いて住まいを通り、山麓を駆け上がる。岳おろしは 弧を描き、住まいを通り海へと降りていく。ここには自然とのコ ミュニケーションがあり、背割りのコモンや緑歩道は人々のコミュ ニティを多いに育む場所となっている。集会場から見る風景は前岳 に向かって緑に染まっていく。これも平屋建てがなせる技かもしれ ない。また、最上部からはマリンブルーの色に引寄せられる。風に 逆らわず、特性を活かし、共に生きる術を、この島の人々は長い経 験の中で学んできた。個々の家の屋根には換気設備が施され温度上 昇を排気により抑えてる。熱い地域なのにクーラーの数がやたら少 ない。もう一つ気づいたのは台風が多いせいなのだろう、玄関にも 雨戸がある。道路は一般的には真ん中が高く両サイドは排水設備が施されているが、ここでは両端が高く道路の真ん中が低く排水溝を 埋めている。雨水の対策である。風と雨について述べたが、海が近 いため塩害も考慮して外部には鉄製は避け、錆びにくいガルバリュ ウム鋼板を使い、それ以外は木材か磁器・陶器のたぐいを使ってい た。このエリアには白蟻も多く、そのため安全性の高いベタ基礎が 採用されていた。

 ある住まいにお邪魔した。玄関は台風の関係から引き違い戸で、 内部は柱・梁・床等主要な部分は木質系である。屋久島ならではの 特徴として、住宅に屋久杉が使われているとイメージしてしまうが、 実情は違っていたらしい。そもそも屋久杉は樹齢千年以上たったも のだけをさし、あとは小杉と呼ばれる。現在、屋久杉は伐採が禁止 されているので、植林された小杉のみしか使うことができない。環 境共生型のこの住宅を計画した際に、地場産材である小杉の使用も 検討されたが、生産量と工事の時期が合わず、わずかしか使われな かったようだ。

 リビングに立つと山側と海側が見え大変贅沢なロケーションであ る。天井は小屋組みに添った天井で棟部に換気と採光を考えて風楼 を設けている。この日は晴れで晩夏の感じであったがさわやかな心 地良さであった。


上:海に面した集会場の屋上緑化/海風が強いのかハゲてしまった

 

 
まとめ

上:海中温泉/自然からの恵みを大らかに受け止めている

上:島に残るガジュマルの大木

 今回の見学会は協議会会員の代表の方が多く参加された。まず自 然環境を理解し、その中での環境共生住宅の必要性を直に見ること、 肌で感じることで、より深く理解していただけたのではないだろうか。

 世界的に環境への取り組みが、より重要視されている今、協議会 として、また企業としての取り組み姿勢が、今以上に推進されるこ とを願っている。
(普及啓発部会副部会長 亀井正紹)


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