環境共生住宅推奨部品データベース
日射調整部材
暑い時期、涼しく過ごす為にはまず、日射を室内に入れないことが重要です。一方寒い冬は、日射を十分に室内取り込むことが効果的です。
季節に応じて、日射を調整し、室内を快適にするための部材が「日射調整部材」です。
目次
1. 日射調整部材の使い方・暮らし方の工夫
居住者が、日常生活で取り組む上手な使い方、手入れ、使用上の注意点は下記の通りです。
(具体的な手入れや使用上の注意点は、機器メーカーの説明書やホームページ等を参照してください)
■ 太陽の熱を室内に入れない
日射調整機能には、角度や長さによってその遮蔽を調整することができるものもあります。
特に夏の暑さを防ぐため、太陽高度に応じてブラインドならば角度の調整、オーニングは開閉、スクリーンは下ろしたり長さを調整します。
■ 太陽の熱を室内に取り入れる
夏は防ぎたい日射も、冬は積極的に取り入れたいものです。
ブラインドは日射を取り込める角度にし、オーニングやブラインドは開けて、太陽の光と熱を取り入れます。
2. 日射調整部材を選ぶ視点
環境に配慮した日射調整部材を選ぶ視点は下記の通りです。
■ 日射遮蔽部材の種類と特徴
開口部に日射調整部材を設置すると、夏は暑い日射を遮り、冬は暖かさを取り込むことができます。
名称 | 概要 | |
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ブラインド | ブラインドは、日除け、目隠しのために窓の室内側に取り付けるものです。素材には、金属や木、プラスチックなどが使われ、羽(スラッド)の角度や間隔、及びブラインド本体の開閉(昇降)によって日射の調整ができ、東西南北全方角に対応が可能です。 | |
ブラインド内臓複層ガラス | ブラインドを複層ガラスに内蔵したものです。ブラインドの素材はアルミです。ブラインドの日射調整機能とともに、複層ガラスの断熱性を有します。ブラインド同様、東西南北全方角の日射調整に対応が可能です。 | |
障子 | 障子は、閉じてしまうと眺望が損なわれますが、雪見障子などにすると、上部だけ遮蔽し、下部で眺望を楽しむことができます。太陽高度が低い時の日射調整に適します。紙越しに入る光はやわらかく、心地よいものです。 | |
カーテン | カーテンは様々な素材があり、目的に応じて使い分けることができます。太陽高度が低いときに適します。 |
名称 | 概要 | |
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スクリーン | スクリーンは、熱が室内に侵入する前に屋外で効果的に遮熱するものです。素材には、樹脂(主にポリエステル)繊維シート製が多く、日射を拡散しつつ透過させることができるため、やわらかな日差しに調整して取り込めます。東西面など、太陽高度が低い場合の日射調整に適します。 | |
外付けブラインド | 屋外に取り付けます。素材はアルミ製で、ブラインドの日射調整機能とともに、シャッターとしての視線・防犯配慮性を有します。日射調整はブラインド同様、全方位に対応可能。通風機能を有するため、「日射調整と通風を両立したい場合」や「視線・防犯配慮しつつ通風をしたい場合」で使用される場合が多いものです。 | |
雨戸 | 雨戸は風雨・寒気・盗難を防ぐことを目的とした、窓などの開口部の外側に取り付けられる戸です。羽(スラッド)の角度による日射調整機能も有します。日射調整はブラインド同様、全方位に対応が可能です。 | |
オーニング | オーニングは、キャンバスをロール状に開閉し太陽光を自由にコントロールできるものです。素材は、テント生地が樹脂繊維シート(主にポリエステル)製が多く、日射調整は、テント生地部分が可動式のため、必要に応じて開閉することで行います。開口部に直接対面しないため眺望性が良く、南面など太陽高度が高い時の日射調整に有効です。 | |
すだれ | 室外側に取り付けます。素材は、金属や木、プラスチックがあります。日射調整機能は、他の部材に比べ劣るものの、安価で設置が容易です。東西面など、太陽高度が低い時の日射調整に適します。 |
■ 日射遮蔽性能と日射調整機能
開口部に日射調整部材を設置すると、夏は暑い日射を遮り、冬は暖かさを取り込むことができます。
○ 日射遮蔽性能
日射の遮蔽を示す指標に「日射侵入率」があります。日射侵入率は、炎天下に何も遮蔽するものがない場合に室内に侵入する日射を「1」として、どのくらい日射を遮ることができるか示す値です。この値が低いほど日射が侵入しないことを表します。夏には低いほうが良いですが、逆に冬の暖かさを取り込むことができませんので、地域や方位によってバランスを取ってください。日射侵入率に関しては、「自立循環型住宅ガイドライン/建築環境・省エネルギー機構(IBEC)」が参考になります。
○ 日射調整性能
上記は日射をできるだけ入れない夏向きの性能です。日射調整機能は、夏には適切に日射を遮ることができ、冬には適切に取り入れることができる機能です。
例えば、ブラインドのフィンの角度が調節できたり、日射に応じて開閉の程度を調節できるようなものです。
従来から日本の住宅で取り入れられている「庇」は、夏と冬の太陽高度の違いを利用して、日射を季節ごとに調節できる優れた機能を持っています。
この庇と併せて日射調整部材を採用するとより効果的です。
■ リサイクル材料・リサイクル可能材料
○ リサイクル材料を使う
リサイクル材料を使用した日射調整部材を選択すると、資源の循環利用に貢献できます。 例えば、アルミサッシの原料のアルミはリサイクルアルミを使用しています。
またオーニングに使用されるテント生地は再生PET樹脂を使用しているものもあります。
○ リサイクルを考慮した構造になっている
リサイクル材料を使用するほかに、部品を廃棄した後にリサイクルが可能な材料であることも資源を循環させるひとつの取り組みです。
リサイクル可能な材料をリサイクルさせるためには、リサイクルがしやすいように、素材ごとに分解・分離しやすい構造にしてあり、さらに、リサイクルができるしくみ「産業廃棄物広域認定制度」が整っていることも大切です。ガラスは認定を取得しているものもあります。
■ 3Rの推進
製造時に端材などの副産物が発生した場合、そのまま原料として再利用する、あるいは工場内で使用する梱包材は通い箱など複数回利用できるものにするなど、3Rを推進する取り組みもあります。
■ 室内空気汚染を防止
室内側に設置する、日射調整部材については、厚生労働生省が室内濃度指針値を定めた「13物質 」の使用を確認すると良いでしょう。
ホルムアルデヒドは素材としてそもそも放散するものとして「ホルムアルデヒド発散建築材料」が法律で整理されています。
日射調整部材は「ホルムアルデヒド発散建築材料」に該当しませんが、メーカーによっては、放散量が少ないF☆☆☆☆であることを表示しています。
また、カーテンはホルムアルデヒドが放散する可能性があります。「インテリアファブリックス性能評価協議会」ではホルムアルデヒドの自主基準を制定し、その性能を表示しています。
ブラインドイン複層ガラスのガスケットには、微量ですがフタル酸ジ-2-エチルへキシルといった可塑剤が含まれています。