住む・暮らす

くらしかた・すまいかた

Vol. 010:内田邸01

厳しい冬も楽しく過ごせるような家にしたかった

夏の内田邸外観
○ご自宅を環境共生型にしようと思われたのは、以前からご興味があったからなのですか?

内田さん: この家がいわゆる「環境共生住宅」にあてはまるのかどうか…ということを、特に気にしながら設計したというわけではありませんでした。
ただ岩手というのは非常に森林資源に恵まれたところだと、3~4年暮らし、色んな方のお話を聞いたり、色んなところを見に行ったりした中で実感することが出来ました。
だからこそ、この家を設計する際の一つの大きな柱として、この恵まれた森林資源を有効に使った家が出来ればいいな、という考えが自然と生まれてきたんです。

柱の二つ目として、岩手の「寒い」という気候特性を意識しました。この辺は岩手の中ではそれほど山間というわけではありませんが、冬場は氷点下12~13℃ぐらいまで下がります。
そんな厳しい気候にも対応できるような性能を確保した家にしたかった。

三つ目は、この敷地の形、庭に残されていた柿や栗の木、ツツジやサツキなど、そういった元からあった要素をなるべく活かすように設計出来ればいいんじゃないかなと思って、この三つの柱を軸に設計にあたりました。
南側の庭には、前の住人によって植えられた柿や栗の木がある。茂った緑の波はそのまま隣接する森林公園へとつながっている。森林公園へは、親子で散歩がてらに薪ストーブ用の細い焚き付けの枝などを拾いに行く。

村上さん: 岩手は冬が寒いというだけではなくて、春夏秋冬がかなりダイナミックというかはっきりしているところです。冬の時期がとても綺麗で、晴れている日が多いんですね。
私は関西出身なので、冬が寒いというと、雪に閉ざされてという印象だったんですが、そうではなくて、冬、綺麗に晴れた日が多いんです。ただ寒いんですね。
だから冬が辛くないような、寒い時期も楽しく過ごせるような家にしたい、という気持ちは大きかったです。

自然エネルギーを極力シンプルに

○採用した自然エネルギー利用システムと、その採用理由などについて教えてください。

内田さん:我が家の場合は、太陽熱給湯システムを採用しました。理由としては給湯にかかる灯油を減らしたかったのがひとつ。それと給湯の負荷というものは春夏秋冬必要なもので、それに対して暖房の負荷というものは、この辺だと冬場だけで非常に大きなものになります。ただこの辺りは気温が低くてもお日様は1年中出ている気候特性なので、太陽熱を利用するなら、給湯がいいだろうということで選びました。

他には、暖房でしたらリビングに薪ストーブが1台。基本的にはその1台で我が家の暖房を賄っています。なるべく複雑な機械仕掛けのようなものではなくて、単純で簡単で自分たちで少しずつ手を掛けながらやっていけるようなものにしたい、というのがエネルギーシステムに関してのコンセプトになっています。
極力シンプルに、単純に。尚かつ自然エネルギーですね、薪を使うことでなるべく地球温暖化への影響が少なくなればと思っています。
換気なんかも、低い位置に換気口を置き、屋根の一番高いところに排気塔を立てていて、温度差だけでかなりの量を換気出来るというのを考えたりとか、元々エアコン嫌いだったこともあるんですが、夏は夏で風が抜けていくように窓の配置を考えて設計したことで、エアコンとかそういったものじゃない方法で、快適に暮らせています。

内田邸のパッシブソーラーシステムの考え方

もどるすすむ >

ページTOPへ