くらしかた・すまいかた
Vol. 07:錦が丘の家02
無理はしない 楽なエコライフのすすめ
○環境にやさしい暮らし方というと、ゴミ問題やエネルギー問題などいろいろありますが、
特に意識して実践されていることはありますか?
奥さま: 私はなるべく楽をしたい性格だから、「よしやるぞ!」と気合いを入れてやろうとはしてませんね。でも主人に言わせると、相当やっているみたいです(笑)。
「楽しくやろう」ということが、結果的に「環境にやさしい暮し方」に繋がっているみたいですね。
ご主人: 例えば、お風呂の残り水が庭を一周して流れていくように、妻が自分で庭を造成したりしてるんですよ。お米も必ず外の流しで研いで、研ぎ汁はもみじの根元にやったりしている。だから意識してなくても、結果として環境に優しい暮らし方が身についてるんじゃないかな。
ご奥さま: お櫃を洗った後の水ももみじの根元に蒔いています。だからご飯粒を食べに鳥も来るんですよ。
○それは立派なエコライフですよ。他に、例えばエネルギーについてはいかがでしょう。
ご主人: この家の窓は全部で29箇所あって、風が抜けていくこと、日を遮ることを考えて作ったので、パッシブ的な性能はけっこう高いんです。だから夏でもクーラーは使いません。
奥さま: 窓が多いのはいいんだけど、ガラス拭きだけが大変です。
ご主人: 近所の大きな池のある家が、この辺一帯の冷熱源になってるようです。寝室の小窓だけを開けて、2階の換気ファンをまわすと、熱気が上に抜けて、冷気が家の中に引き込まれてきます。夏の暑い夜でも、池の方から風が流れると、すうーっと冷たい空気が家の中を流れて、クーラーがなくても非常に快適です。
奥様: 聞いた話ですが、この辺り一帯は他の場所に比べて、夏の気温が低いそうです。昔は八幡様の北側あたりに氷室があったほどみたいです。
○冬場はどんな暖房システムをお使いですか?
ご主人: OMソーラーの家なので太陽熱を使って暖房をしています。OMのシステムは、近所の家が入れているのを見て採用を決めました。
四季を感じる庭
○季節を感じるのはどんな時でしょう。
奥さま: もみじの葉が芽吹いたり、鳥が来て雛が生まれて育っていく時でしょうか。もみじの木に巣箱をかけてあるので、それを利用する鳥がくるんですよ。
ご主人: 毎年この巣箱を利用してシジュウカラの夫婦が子育てをしています。大体5月の連休のころでしょうね。巣立ちの時は本当にドラマティックで、ビデオをセットして雛たちの巣立ちを一日中見守っているのが楽しみなんです。
奥さま: 巣立ちは朝早いので、寝室からも巣立ちを見逃さないような窓になっています。カーテンを開けておくと、ちょうど見える位置に巣箱をかけてあるんですよ。
○もみじの木は土地を買った時から植っていたとお聞きしましたが、池も同じですか。
ご主人: 坪庭の池は新しく作ったものです。カエルが住み続けてくれたのです。
奥さま: ヒキガエルは池の主なんですよ。
環境共生住宅のススメ
○これから「環境共生住宅」に住みたい、建てたいと思っている人に、何かアドバイスをお願いします。
奥さま: 木を植えるといいですよ。特にもみじはオススメです。水があるところじゃないと枯れますけど。だから、場所にあった木を植えるというのが一点。あとは土を残したり、苔庭にするのもいいです。苔は夏は涼しいし、冬は暖かい。シジュウカラの雛たちが巣立った後に巣箱の掃除をしたら、巣に苔を3cm程ひいているのを見ました。それがふっかふかで暖かい。
○先ほど「楽しくやろうとしたことが、結果としてエコな暮らし方に繋がった。」とお話されていましたが、
楽しむコツのようなものがあれば教えてください。
奥さま: 本物を選ぶことが大事だと思います。特に家の素材は重要です。床や柱に使っている素材が本物の木か、それっぽい偽者なのかで、後々の掃除の楽しさが違ってくるんです。本物は時間が経つにつれて味が出てくる。だから掃除が楽しい。でも偽者だと、時間が経つにつれ劣化していくばかりで、見るのも嫌になってしまう。そんなものを磨くのは楽しくないですからね。
ご主人: もし自分で家を建てるチャンスがあったら、周囲との繋がリを考えて、家のつくりを考えた方がいいです。
自分の家の敷地の中だけでなく、例えばお隣の家がある場合はその窓の位置を考えて、自分の家の開口部の位置を決めれば、お互いの視線が合うこともなく、プライバシーも保たれます。
家のまわりを高い塀で囲わないことで、街路樹や近隣の家の樹木と、僕の家の庭が一体になって見えるので、とても緑が多く見えます。いわゆる「借景」のようなものです。全部の要素が自分の敷地の中になくても、豊かな眺望を得ることはできる。」と僕は思います。
だから、敷地の中だけで完結しない家づくり、外側と内側をうまくつなげようとすることが、環境共生住宅を考える上でとても大切な要素なんではないでしょうか。