くらしかた・すまいかた
Vol. 08:再生エコハウス
住まいの試行錯誤-その1
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○住みはじめて、どのくらいたちましたか?
濱さん: 家を買ったのが1999年3月。エコ住宅研究会の初回が翌4月で、設計も同じ月に始めました。
設計が終わったのが8月で、改修工事が終わって入居したのは1999年11月のことです。
だから住み始めて7年半くらいですかね。
○入居後に手を入れた部分も多いのですか?
濱さん: 多いですね。例えばこの家には元々中庭があって、改修の際にガラス屋根をつけて内部空間にした場所があります。
吹き抜けになっているのでそこに障子を付けて暖房で暖まった1階の空気が逃げていかないようにしています。夏の日射を防ぐのにも役立ちます。蔀障子っぽいですね。周囲の枠は大工さんの頼んで、あとは自作です。
部屋の上部にある障子は住みはじめからあったんですが、住んでから「開閉の仕組み」を改良し続けて、この紐を引くと簡単に開けるようにかなりました。
当初は上から引っ張ってたんですけど、いちいち上にあがって開け閉めするのが面倒なので、薪ストーブの近くでロープで開閉できるようにしました。
ロープもいろいろ試行錯誤して。例えばヒートンだけでやっていた時はロープが擦り切れて切れちゃったり。試行錯誤の結果、滑車+ロープという今の形になったんです。
○どんな時に開け閉めするのでしょうか?
濱さん: 暖房する時はだいたい閉めています。
それから、夏の暑い時も閉めます。
ちなみにこの障子は、NEXT21という大阪ガスの実験住宅で改装工事をしたとき、現場で「いらない」というのを貰ってきて、加工しました。
骨のピッチから出来上がりの寸法を割り出し、障子の大きさに合わせて枠だけ作ってもらって、あとは自分で工作しました。
○工作は面倒ではありませんか?
濱さん: 元々工作が好きだったみたいで、面倒よりも面白さが勝っている感じですね。例えば、この手すりなんかも、お遊びで作ったんですけど。
ある神社の御神木の檜が落雷で割れちゃって、それを板に製材してからどこかの和風建築の破風にしたらしいです。その残りを工務店さんから1組もらってきたんです。一本はアルミサッシの枠を隠す梁のような枠を支える柱にしました。もう一本は木目に沿って細長い穴を開けてから玄関の壁に固定し、靴を履く時などの握り棒にしています。「この形を活かして使ってくださいよ。」と言われたことを守っています。
僕は普通の丸い棒でもいいと思ったんだけど、妻は芸術家だからそういうのが嫌いなんですよ。つまらないって。たしかにこういう天然木みたいな形のほうがオブジェとして面白いです。
○吹き抜けの上の方の壁に、横向きについている「扇風機」が見えるんですが…。
濱さん: あれは30年前の古い扇風機を再利用しているんです。機械屋さんに見せたら、軸が水平か垂直かで仕組みが違うと言われそうですが。まあ、回ってますね。
障子は水平について、扇風機が横向きに付いている。写真だけ見たら、この部屋の縦と横がわからなくなるでしょうね(笑)。
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住まいの試行錯誤-その2
○その他にどんな試行錯誤があるのでしょうか?
濱さん: 吹き抜けの2階部分は温室になっていて、明るさと熱を取り入れるのはいいんですが、夏場は熱の侵入をくい止めるのは苦労します。前はガラス屋根によしずを置いていたんですが、暗くなるし昨年からは遮熱スクリーンを張っています。
この遮熱スクリーンは、OMソーラーの社屋『地球のたまご』にも使われているものの次世代版で光触媒遮熱シートというものです。防火性があり集合住宅にも使えるように進化した製品だそうです。メーカーからサンプルを頂戴して、試しています。本来は水をたらたら流して蒸散させながら使うんですが、蒸散させなくても、汚れにくいとかそういった意味で光触媒は意味がありそうです。
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曇りや雨の日などはここに洗濯物を干せる。
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○テラス部分も完成後にいろいろと足されたのでしょうか。
濱さん: そうですね、屋上も竣工後に段々と手を入れていった場所です。この物干し台の基礎に車輪が付いてるのはね、実はベンチにもなるからなんです。お客さんが多い時はあこに見える濡れ縁を洗濯物干し台に載せベンチに変えて、今あるベンチやスツールを加えると10数人は座れるようになります。
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濱さん: これがもう一つの工夫で、パラソルのスタンド。市販品にはろくなものが無いから、大きな植木鉢を利用しています。下半分はレンガとか割れた植木鉢のガラで重くしてあります。鉄パイプを根絡みを付けてはめ込んであるので、パラソルのスタンドになるんです。あまり目立たなくおしゃれでしょ?テーブルの真中にパラソルを立てるものもあるけど、太陽は真上から来るわけじゃ無くて、斜からが普通だから、これなら転がしてどこへでも動かせる。