環境共生住宅とは

環境共生住宅宣言

平成9年11月21日/環境共生住宅推進協議会

趣旨

「環境共生住宅推進協議会」は、わが国の住まい・まちづくりに関連する様々な企業・団体・自治体等で構成されている。そして、今私たちが直面しつつある地球や地域、そして住居を巡る様々な環境問題に対して、住まい・まちづくりの分野で総合的かつ効果的に対処することによって、次世代に引き渡せる持続可能な社会の構築に寄与することを共通の目的としている。

その趣旨に基づき、本協議会は会員の総意として次の8つの目標を掲げ、その実現に資する具体的な活動を持続的に展開することをここに宣言するものである。

地球環境の保全を図るため、

周辺環境との親和を図るため、

居住環境の安全・健康・快適化を図るため、

以上の活動を広く国内外に持続的に普及・推進するため、

その背景

1. 住宅のスクラップ・アンド・ビルド

近年、わが国の住宅産業は160万戸前後の年間着工件数を維持してきた。そして、個々の住宅の平均的な使用年数はわずか25~30年程度と、欧米に比較すると極めて短期間である。つまり、住宅のいわゆる「スクラップ・アンド・ビルド」による大量供給にその多くを依存してきた。

2. 住宅と地球環境問題

この旺盛な住宅生産・供給は、わが国の経済発展の一翼を担い、戦後の住環境の飛躍的な改善をもたらしてきた一方、その建設・使用・廃棄の過程で大量に消費されるエネルギ-や資源、その結果としての二酸化炭素等の排出による地球温暖化、そして廃棄物の処理能力の限界等、今や看過しえない環境問題の一因となっていることが指摘されている。そして、資源・エネルギ-の大半を輸入に頼っているわが国の諸外国との関係を考えれば、それらはもはや日本国内のロ-カルな課題にとどまらず、グロ-バルな枠組みのなかで考えねばならない事態にあることは明らかである。

3. 住宅の質的な問題

また、戦後のわが国の住宅が量的・質的に急速な発展を遂げたことは事実としても、個々の住宅の規模や住み手・地域性に応じた性能・耐久性、および室内外の健康・快適性やそのコスト、そしてその集合としてのまちの景観や周辺環境との生態的な調和等の面で、まだまだ改善すべき多くの課題を抱えている。このような課題に対応し、より質の高い住宅の建設を誘導することは、長期的に新規建設戸数の漸減が見込まれるなかで、内需の確保に資することにもつながるであろう。

4. 持続可能な住宅・社会へ

このような環境と住まい・まちづくりを巡る問題意識の矛先は、今や住宅生産・供給に係わる個々の企業や団体、そしてすべての生活者に向けられつつある。言い換えれば、資源・エネルギ-や廃棄物の問題に始まり、さらに戸建ておよび集合した住まいのより本来的で総合的な「質」のあり方が、「環境と共生」する「循環型社会」の「持続可能な発展」を念頭に置いた様々な構造改革の流れを背景に、いよいよ焦眉の課題として私たち一人ひとりに問われているのである。

5. 環境共生住宅の足跡

このような状況認識を先取りして、「環境共生住宅」が平成2年に官民の共同により産声を上げた。その後の研究会、推進会議と続いた6年間の活動を通じ、住まい・まちづくりの分野で以上の課題に応えるべく、様々な関連する技術や仕組みについての知見を積み重ねてきた。その間に設けられた国の助成の仕組みを利用した事業化の試みも自治体や公社・公団等によるものを中心に全国で40カ所を越え、すでに実現した数々の事例を通して、「環境共生住宅」の理念や実態が広く世間にも知られるようになってきた。

6. 21世紀の住まい・まちづくりをめざして

「環境共生住宅推進協議会」は、会員の業種・業態や構・工法、さらには供給形態や手法の違いを乗り越え、これまでの活動を発展的に引き継ぐために組織された。そして、住宅・まちの企画・計画、生産、建設、供給、管理等、一連の活動に係わる会員の目標として、21世紀の「環境と共生する住まい・まちづくり」に資する工夫を、「技術」「仕組み」「意識」の各視点から検討・提案・実施・検証する。そのための情報交流と共同の場である本協議会は、そのさらなる普及と推進に向けた活動に今着手したのである。

ページTOPへ