環境共生住宅とは

環境共生住宅とパッシブデザイン

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パッシブデザインとは

パッシブデザイン(passive design)とは、 建物を取り巻く自然環境の特性を活かし、室内を快適にするための設計手法です。
自然環境は季節ごと、地域ごとに異なります。
例えば、太陽は夏と冬では日の巡る高さ(太陽高度)が違います。風も、夏と冬では吹いてくる方向が異なります。
また晴れの多い地域や雪の多い地域など、地域の数だけ、多様な自然環境があります。
パッシブデザインは、まず建物を建てる土地の自然環境特性を理解することから始まります。

季節ごとの環境特性に合わせる

夏と冬、それぞれの季節に合った工夫としては、例えば、夏には強い日射を遮り、風通しをよくする、夜間の冷気を効果的に取り入れる、冬には日射を室内に十分取り入れ、それを構造体に蓄えたり、冷たい季節風を遮る、といったものが挙げられます。
そして、これらをバランスよく取り入れるため、構造体や材料、間取りや空間構成、庇や窓等といった設計上の工夫を行い、デザインします。

地域ごとの環境特性に合わせる

日射量・日照時間や風向・風量などは、地域の気象条件や地形などの立地条件によって異なるため、パッシブデザインを行う前には、気象庁の集計データや(家を建てようとする場所で)計測したデータを読み解くことから始めます。データを読み解くことで、その家にふさわしいパッシブデザインのアイデアを得ることができます。

日照時間の月別比較から地域特性を読み取る

日本は、狭いながら南北に長い国土に山が多く、北国、南国、日本海側、太平洋側、高山、高原、盆地、内海、島嶼(とうしょ)、平野など、地域ごとに異なる多様な気候があります。日照時間も地域ごとに異なり、特に冬季に日照の多い地域と少ない地域では、日射の利用方法も大きく異なります。

【関連用語解説】日射と日照
日射は太陽からの放射エネルギー、日照は直射日光が地面を照らしている状態を指します。 気象庁が行っているアメダスによる気象観測では、日射は全天日射量を、日照は日照時間の計測を行っています。全天日射量は地表面が受け取る太陽光のエネルギー量(MJ/㎡)、日照は直射日光が地面を照らしている時間(h)として表します。

風配図から風の特徴を読み取る

風配図は、ある地点のある期間における風向・風速の頻度を1つの図にしたものです。どの風向の風が吹きやすいか、どの程度の強風が吹きそうか等、その地域ごとで予想される風の特徴を知ることができます。

パッシブデザインには暮らし方の工夫も必要

自然とつくる環境共生住宅シリーズkkjの「太陽の5カ条」

パッシブデザインは、住まい手による積極的な行動も求められます。kkj5カ条シリーズの「春夏秋冬編」では、暮らし方を季節に合わせて工夫することで、より快適に、より省エネ効果を上げるためのヒントを紹介しています。
また「自然とつくる環境共生住宅編」では、太陽、雨・水、風、緑、4つの要素ごとに考えられる環境共生の取組みを紹介しています。パッシブデザインのヒントとしても役立つ内容になっています。

kkj5カ条シリーズ「春夏秋冬編」 kkjの5カ条シリーズ「自然とつくる環境共生住宅編」

パッシブデザインとアクティブデザイン

ダイレクトゲイン

パッシブデザインの反対語としてアクティブデザイン (active design) があります。
アクティブデザインは、冷暖房設備や給湯器、照明器具などを効率的に組み合わせることにより、快適な室内環境をつくり出すことを目指すものです。 例えば「暖房」。冬季の室内を暖かくする際に、まず昼間は太陽光を上手く取り込み、室内を暖めるパッシブデザイン「ダイレクトゲイン」を考えます。同時に暖かい空気を逃さないよう、窓の断熱についても検討します。
パッシブデザインを考えた上で、アクティブデザインとして、日中でも必要になる暖房の種類や夜間の使用時について計画します。パッシブとアクティブを組み合わせて「室内の暖かさ」を計画・設計することで、より効果的に省エネや省CO2を実現することができます。もちろん夏の涼しさも合わせて検討していくことが重要です。
パッシブデザインとアクティブデザインは、快適な居住環境を少ないエネルギーで実現するために合わせて考えていきたい設計手法です。

環境共生住宅とパッシブデザイン

環境と共生する住まい・まちづくりでは、自然や四季の変化だけでなく、暮らしを取り巻くさまざまな「つながり」を意識しています。
まわりの自然環境や地域資源とつながりあって生まれる住む人の心を満たす住まいやまち。
それが「環境共生住宅」です。

私たちkkj(正式名称:一般社団法人 環境共生まちづくり協会)は、太陽や雨・水、風、緑などの自然の恩恵を活かした「環境と共生する住まい・まちづくり」を 推進しています。

環境と共生する住まいづくりのステップ

自然の恩恵に加え、風土や文化などの周辺環境や地域の資源を活かすために、下記の4つのステップで「環境と共生する住まい・まちづくり」を進めます。

step1.住まいの立地環境を読み解き、整えます まちなみ景観や微気候(敷地内外の気温・湿度・風・日射等)を整え、隣人との交流を促し、多様な緑や生きものと触れ合うことができるように工夫します
step2.周辺環境や地域資源を活かして住まいをつくります 立地環境や住まいの特徴に応じた建物配置や形状、間取りなど、住まいづくりの基本に取り組みます。地域の文化や伝統にも学び、住まいづくりに活かします。
step3.低環境負荷型の設備・技術を組み入れます ステップ1 と2の取り組みに加え、太陽光発電や高効率の設備など居住環境の向上と環境負荷の低減を両立できる技術やエネルギーを必要に応じて組み入れ、快適な居住環境の実現をサポートします。
step4.取り組みを統合的にマネジメントします ステップ1 ~3の総合的な取り組みにしたがって計画と設計を行います。立地環境や住まい方の変化にも対応できるよう、取り組みを統合的にマネジメントし、環境共生の暮らしを持続的に支援します。
環境共生住宅とパッシブデザインの関係

環境共生住宅とパッシブデザイン


図に示すように、環境共生住宅は、断熱化・気密化を基本に、パッシブデザイン手法を積極的に取り入れ、さらに地域の社会的な条件を組合せた住まいづくり、ということができます。

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