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kkj 特集~鳥と共に暮らす

鳥たちの世界

1月に入り、寒さも増してきました。これから冬が深まるにつれ、鳥たちにとっても厳しい季節になっていきます。昆虫は滅多に捕れないでしょうし、田んぼに落ちていた稲穂や、木々に実っていた豊かな木の実もほとんど食べ尽くし、山に食べ物が極端に少なくなる季節、それが冬です。そんな季節だからこそ、鳥は人里に下りてきて、人の生活圏の中で自分たちの餌を探すのです。つまり冬「寒さが厳しい季節」は、人が積極的に鳥に関わることができる季節なのです。

どんなことをすれば、鳥たちにもっと近づけるのでしょうか?
まずは鳥たちの生態系の成り立ちから、そのヒントを探していきましょう。

喰うか喰われるか-生態系ピラミッドの成り立ち

「ハイタカ」という、ハトくらいの大きさのタカがいます。小柄なため哺乳類よりも小鳥を襲うことが多い鳥です。
このハイタカが生存し続けるには、1年間に779羽のシジュウカラ(換算値で)の捕食が必要であるといいます。そして1羽のシジュウカラは1年間に12万5000匹のマツシャクトリ(松尺取蛾の幼虫)を必要とします。
つまりハイタカが1年間に必要とするシジュウカラ779匹が必要とするマツシャクトリムシは9737万5000匹であり、1億匹弱の毛虫の幼虫を養うために、420ヘクタール(約2Km四方)の広葉樹林の森が必要になります。(日本鳥類保護連盟の計算による)

自然界のバランスは非常に厳しく、779羽のシジュウカラが1匹でも、マツシャクトリムシや緑の一角がほんの少し欠けるだけでも、ハイタカの存命はあやうくなってきます。

ちなみにシジュウカラより小さなコガラ1匹が1年間に食べる虫は、およそ十一万三千匹、エナガは九万六千匹。(鳥が1匹いるだけで、どれだけの数の昆虫が消費されているんでしょう!)
この食物連鎖をピラミッドの形にして表すと、とても平たい三角形になります。
食物連鎖の頂点に位置する肉食動物の生命が、いかに多くの生命に支えられているのかがわかります。

生命の循環-太陽エネルギーの逓減率

空から降り注ぐ太陽エネルギーは地球上の生命を循環させるエネルギーの源であり、上の図のような生態系ピラミッドの根底を支えています。しかし無尽蔵と思われる太陽エネルギーは、自然界の食物連鎖において、約1/10ずつの割合で減っていきます。その低減率を表すと以下のようになります。

太陽からのエネルギーを受けて育ったキャベツをアオムシが食べ、そのアオムシをムクドリが食べ、そのムクドリをアオダイショウが食べ、そのアオダイショウをイヌワシが、と食物連鎖の発端と末端で比較すると太陽エネルギーは1/1,000,000までに減ってしまいます。

私たち人間は、自然に手を入れ、自分たちが外敵や気候に脅かされることのないよう、安心して住める環境を作ってきました。しかし、自然界を循環させているエネルギーの隠遁率は、人のわずかな開発行為の影響を、何倍ものダメージとして受けてしまいます。自然界は一つの生命で成り立っているのではなく、他の生命との関係性の中で成り立っているからに他なりません。

もっと『High Contact』を!

環境共生住宅には『High Contact-まわりの環境と親しむ住まい方』という考え方があります。
市街地であっても田園地帯であっても、そこには必ず植物や生き物が関わりあって成り立つ自然の循環のしくみがあり、人が受け継いできた歴史や文化があります。
そうした周辺環境を切り離し、閉鎖的な人工環境をつくるのではなく、 その土地のもつ特性を理解し、住まいの「内」と「外」をうまく共生させていくことが、本当の意味での「住まい」づくりへとつながります。

鳥と人がお互いの利害を損なうことなくスマートに共存しあうために、どんな方法があるのでしょうか。
あなたにもできる「HighContact-まわりの環境と親しむ住まい方」を一緒に探していきましょう。

街にすむ鳥たち

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